臼井 由季
加藤 浩子
近藤 美恵
神保 利江
角田 督
中村 行孝
福地 鉄平
山口 剛
ブランドエクイティ研究班
(臼井由季、加藤浩子、近藤美恵
神保利江、福地鉄平、山口剛)
ブランド拡張研究班
(中村行孝、角田督)
慶應義塾大学商学部 濱岡ゼミは1998年度より開設された新しいゼミです。この小冊子は、その第一期生が、自分自身の興味に基づいて、現在、日本の市場で生じているマーケティング現象を事例研究としてまとめたものです。各事例は、それぞれ次のような角度でマーケティング現象をまとめたものといえるでしょう。
・白鶴酒造(福地鉄平)
酒という伝統的な商品の活性化のためのマーケティング。
・SCE「プレイステーション」(中村 行孝)
家庭用ゲーム機という先端的な商品を導入するためのマーケティング。
・ガリバー(山口剛)
中古車の査定方法の標準化など、システム・仕組みを活かしたマーケティング。
・大創産業「100円ショップ」(神保利江)
混乱に満ちた店頭。POSで管理されたコンビニエンスストアの対極にあるマーケティング。
・キリン「Supli」(角田督)
新しい商品カテゴリを創造した背景にある、用意周到なマーケティングリサーチとマーケティング。
・日本リーバ「Dove」(加藤浩子)
海外の大型ブランドを修正して日本向に導入したグローバルマーケティング。
・ハーゲンダッツ(近藤美恵)
海外のブランドを導入するのみならず、日本での広告の成功によって、グローバルに広告を行うようになった事例。日本発の海外へのグローバルマーケティング。
・エクスピアリ(臼井由季)
独自のコンセプトと、それを提供するための「ひと」の育成が重要な役割を果たす、「まち」のマーケティング。
これらの事例を鳥瞰すると、伝統的な商品/先端的な商品、新規市場の創造/既存市場への新製品導入/成熟・衰退市場の活性化、効率化/効率を犠牲にしたマーケティング、国内/海外、モノ/サービス/まち、いかなる商品、局面、対象についてもマーケティングが重要であることが読みとれます。
また、詳しく事例を読んでいくと、日本のマーケティングや消費者行動の現状のみならず、将来の方向性なども読みとれます。どのようなテーマでもよいからという課題を与える場合、どのようにまとめるかという側面以上に、そもそもどのようなテーマを選ぶかということから、学生のセンスを試すという狙いがあります。ここで選ばれた事例はすべて、興味深く、マーケティングセンスのある適切なものだと思います。
このゼミでは、マーケティング・サイエンス=論理的な分析・思考に基づくマーケティングを中心に研究を進めてきました。論理的な思考を身につけた8名によって集められた、8本の事例研究は、「日本のマーケティングの最前線」を集めたものといえるでしょう。(濱岡談)